【低年金世代に冷たい改革?】削除された支援策とは

5年に一度の年金改革の柱とされていた「基礎年金(国民年金)の給付額底上げ策」が、最終的に法案から削除されたことをご存じでしょうか? 就職氷河期世代が65歳に差しかかる中、低年金への不安を背景に検討されていた政策ですが、自民党内では「選挙への悪影響が大きい」との反対が広がり、実現には至りませんでした。

相次ぐ低年金対策の後退

基礎年金の保険料納付期間を現行の60歳から65歳まで延ばす案も、2024年7月に撤回されました。年金額は年10万円増える見込みでしたが、保険料負担が計100万円増加することへの反発が強く、導入は断念されています。

また、パート労働者の厚生年金加入拡大は法案に含まれましたが、事業主への負担軽減を求めた自民党の要請により、実施完了時期は従来の2029年から2035年に先送りされました。

基礎年金底上げ策の仕組みと課題

将来的に基礎年金は約3割減額される見込みで、老後の生活に不安を抱える自営業者や低所得の会社員を支えるため、厚生年金の一部を振り替え、さらに税金(国庫負担)も追加投入する構想でした。

この方法により、将来的には99.9%の人の年金水準が上がると試算されていますが、厚生年金を受け取る世代の給付が当面減少し、さらに追加の国費(最大年間2.6兆円=消費税約1%分)も必要となります。

まとめ

厚労省は「年金改革はゼロサムゲーム」と説明しています。誰かの給付を増やすためには、誰かが負担を強いられる、という考えのことです。今後の議論では、給付と負担のバランスをどうとるか、国民に対して誠実かつ丁寧な説明が求められるでしょう。

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