公正取引委員会は2025年6月24日、令和6年度の「荷主と物流事業者との取引実態に関する調査結果」と、「優越的地位の濫用に関する事案の処理状況」を公表しました。
優越的地位の濫用につながる事例
今回の調査では、以下のような不適切な取引が合計747件報告されています。
- 不当な給付内容の変更ややり直しの強要
- 代金の支払い遅延
- 買いたたき(不当に安い価格での契約)
特に注目すべきは、「荷待ち(運送事業者が現場で長時間待機させられる)」が全体の約半数のケースで確認された点です。
調査規模と対応
調査は荷主事業者30,000者を対象に行われ、うち100事業者に対しては立入調査が実施されました。また、646事業者には書面による注意喚起がなされています。
背景と今後の動向
この調査結果から、物流現場における不公正な取引慣行や運送事業者への過重な負担が依然として続いている実態が浮き彫りになりました。政府は「物流の2024年問題」への対応を進める中で、荷主側にも適正な取引の徹底を求めています。今後、独占禁止法に基づく是正措置が取られる可能性もあります。
まとめ
物流業界を取り巻く環境が厳しさを増す中、公正な取引の実現が強く求められています。荷主と物流事業者の関係においては、優越的地位を背景にした一方的な取引条件の押しつけは、法律違反にもなり得ます。今回の調査結果を踏まえ、あらためて自社の取引慣行を見直すことが重要でしょう。
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