【出版業界に初の勧告】フリーランス保護新法について

公正取引委員会は、2025年6月17日、出版社の小学館および光文社に対して、フリーランスのライターやカメラマンとの取引において、報酬額や支払期日の明示がなされていなかったことを理由に、フリーランス保護新法(正式名:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)に基づく初の勧告を行いました。

勧告内容の概要

今回の勧告では、以下の2点が出版社に求められました

  • 違反に対する再発防止措置の実施
  • 対象外の取引も含めた社内調査および必要な是正措置の実施

出版業界の慣行に警鐘

調査の中で、出版業界では「口頭での発注」や「刊行日を基準にした報酬支払い」といった慣行が定着している可能性が指摘されました。公正取引委員会は、今後業界団体に対し、法令遵守の周知徹底を求めていく方針です。

他業界にも波及する調査

同法の施行以降、公正取引委員会はアニメーション業界やゲームソフト業界など、フリーランスとの取引が多い業種において、54件の違反または違反の疑いを確認したと発表しています。今後、該当業種に対する集中的な調査を継続する構えです。

企業に求められる対応とは

今後、フリーランスとの取引がある企業には、次のような対応が求められます。

  • 報酬額・支払期日・納品内容を明記した契約書や発注書の発行
  • 法令対応を考慮した社内ルールの整備
  • コンプライアンス教育の実施と、既存取引慣行の見直し

まとめ

今回の勧告は、フリーランス保護新法が実効性をもって運用され始めたことを象徴する初のケースです。出版業界に限らず、映像・IT・ゲームなどの分野でも、これまでの「慣行」が法令違反にあたる可能性が高まっており、企業側はフリーランスとの契約実務について見直しと整備を進める必要があります。新たな法令の流れを正しく理解し、早めの対応を検討しましょう。

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